凡人ただびと)” の例文
数日之後ひをへて、皇太子近習者つかまつるものを召して、かたりて曰く、先の日、道に臥せる飢者は、其れ凡人ただびとあらじ、必ず真人ひじりならむ。使を遣して視しめたまふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
尼は、凡人ただびとの子でないものと見て、頼朝をいざなった。けれど、何も問わなかった。およそ一月余りも、頼朝は尼寺の天井裏に寝起きしていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
凡人ただびとの子ではない)こう感じたので、彼は、気づかれぬうちにと、足をめぐらして、腕白な主人の待ちかまえているくるまのほうへ、いそいで、引っ返してきた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古びて見る面影もないがそれは凡人ただびとく剣ではない。琅玕ろうかんたまがついていたはず、戛玉かつぎょくとよぶ珠だよ。剣帯けんたいに革かにしき腰帛ようはくもついていたのだよ。王者のはいとそれを呼ぶ。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見てきた老人の眼じゃ。はて凡人ただびとではないぐらいなことは、とく感づいておりましたよ。今さら驚きはいたしません。ただただあなた様の人物に傾倒してのお願いなのじゃ。どうぞおきき届けくだされい
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そもそも、この節級は、凡人ただびとでない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こは、凡人ただびとならじ」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)