円卓えんたく)” の例文
妹の居間いまには例の通り壁と云う壁に油画あぶらえがかかり、畳にえた円卓えんたくの上にも黄色い笠をかけた電燈が二年前の光りを放っていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
荒くれ男が五六人、円卓えんたくを囲んでいる。正面にふんぞり返っているのは、どこをどう逃げて来たのかまさしく「岩」だ!
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
朱塗の大きな円卓えんたくをかこんで、格式張ったお役人ふうなのをひとりまぜ、大商賈おおどこの主人とも見える人体じんていが四人、ゆったりと椅子にかけ、乾酪チーズを肴に葡萄酒の杯をあげている。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
*王様はとりわけ、アーサー王と円卓えんたくの騎士の話を書いた、イフヴェンとゴーディアンの物語を好いていられます。それでご家来の人達とあの話をしてきょうがっていられます。
其の夜の六時、電気協会ビルディングの三階第十号室には我国の科学方面に於けるさまざまな学会の会長連が、円卓えんたくを囲んでずらりと並んでいた。その人数は十七名もあろうか。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
辰子は円卓えんたくの上へのり出したまま、黄色い電燈の笠越しに浅黒い顔をかがやかせていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)