八岐やまた)” の例文
いまは、ささやかなお宮ですが、その昔は非常に大きい神社だったそうで、なんだか、八岐やまた大蛇おろちの話に似ているようなところもあるではございませんか。
黄村先生言行録 (新字新仮名) / 太宰治(著)
この少女はわが子なり奇稲田姫くしいなだひめという。さきに八箇やたりの少女あり年ごとに八岐やまた大蛇おろちのために呑まれて今このおとめまた呑まれんとすと申しければ、尊われにくれんやとのたまう。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
素戔嗚の尊が稲田姫を八岐やまた大蛇おろちから救つた話はどこの国にもありさうな伝説である。
大へび小へび (新字旧仮名) / 片山広子(著)
「わん、わん、御姉様おあねえさまの御姫様は、生駒山いこまやま洞穴ほらあなに住んでいる食蜃人しょくしんじんとりこになっています。」と答えました。食蜃人しょくしんじんと云うのは、昔八岐やまた大蛇おろちを飼っていた、途方もない悪者なのです。
犬と笛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いまもなお悠然とこの日本の谷川に棲息せいそくし繁殖し、また静かにものを思いつつある様は、これぞまさしく神ながら、万古不易の豊葦原とよあしはら瑞穂国みずほのくに、かの高志こし八岐やまた遠呂智おろち
黄村先生言行録 (新字新仮名) / 太宰治(著)