八十馬やそま)” の例文
と、取消そうと思ったが、赤壁八十馬やそまは、とたんに地へ膝をついて頭を下げているので、今さらもう冗戯ともいえなかった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうやら赤壁八十馬やそまは乗り気になっているらしい。又八は、その就職くちへありつきたいことは山々だが、佐々木小次郎であると他人の名を借用してしまったことが、どうもまずい。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「赤壁八十馬やそまといって、おれはこいつにだまされて、持金もちがねを巻き上げられたことがある。生き馬の眼を抜くようなあの八十馬が、どうしてこんなところにへたばっていたのだろうか」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出世のつるとはゆかないまでも、体の売れ口はないものかと僥倖ぎょうこうをたのむ気持が、そのために、赤壁八十馬やそまにうまうまと詐欺さぎにかかった後までも、いまだに量見からなくなっていない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行き仆れ牢人の赤壁八十馬やそまの死骸を、そのまま崖の下に埋葬してしまうつもりらしく、早速かついで来たくわすきを振るって、ドスッ、ドスッ、と夜陰の底へ不気味なひびきを震わせる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分で突きとばしておいて、八十馬やそまはこう謝りながら、朱実の体へのしかかり
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)