入側いりがわ)” の例文
入側いりがわ付きで折曲おりまがって十二畳敷であります、肱掛窓ひじかけまどで谷川が見下みおろせる様になって、山を前にしてい景色でございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小姓は持っていた佩刀はかせを、刀架かたなかけにかけて去った。内膳はちょっとためらったが、しかしこれも入側いりがわへさがった。
安部はホールへつづく入側いりがわになった廊下のほうへ歩いて行った。
予言 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
小姓は入側いりがわから去った。大和守は両手を膝にして、やや仰向きになりながら、眼をつむった。
入側いりがわの方へ出に掛ると、玄関口から這入って来ましたのはぜん申し上げました瀧川左京の娘おりゅうにて、私の身体を身請してくれると云う旦那様に一言ひとこと頼みたいことも有るが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兵部は入側いりがわから、小姓に刀を持たせてはいって来た。白の生絹すずし単衣ひとえの着ながしで、いかにもいま夜具から出て来た、という姿だったし、その顔にも、むりに起こされた人のふきげんな色があった。