兜屋かぶとや)” の例文
十年經つて女房はくなりましたが、元手が確かりあつたので、酒屋は繁昌して、兜屋かぶとやの身上は、今では山の手で指折りの店になりました。
神田かんだ本郷ほんごう辺のバアやカッフェ、青年会館や音楽学校の音楽会(但し一番の安い切符の席に限るが)兜屋かぶとや三会さんかい堂の展覧会などへ行くと、必ず二三人はこの連中が、傲然ごうぜんと俗衆を睥睨へいげいしている。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「その上、あの面相の通り、近頃ではノサバリ返つて、兜屋かぶとや中を切つて廻し、父親にも物を言はせなかつたさうで」
兜屋かぶとやの手代の岩三郎に、隣の息子の三七、——富坂の方角では、お鈴の從兄いとこの大工の勇太郎」