光風霽月こうふうせいげつ)” の例文
「その歯一本さ。歯一本と真正ほんとうに悟れば、虚心坦懐きょしんたんかい光風霽月こうふうせいげつ抜いて貰いながら所得税の申告も書ける。そこまで行かなければ駄目だよ」
小問題大問題 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
光風霽月こうふうせいげつ、さきほどまでのことには何のこだわりもない明るいお声です。見上げる退屈男の目に光るものがわきました。
一切の国政をみな家臣にまかせて、光風霽月こうふうせいげつを友とし、九年の間も、この高楼たかどのから降りないせいか、老公の耳朶じだまなじりには、童顔のうちに一種の仙味がある。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長ずるにしたがって私の精神の薄弱は事毎に暴露された。先生は今は亡き人である。ふと辛い気持に襲われる。先生の光風霽月こうふうせいげつの心境が今は私にも仰がれる気持だ。
前途なお (新字新仮名) / 小山清(著)
「お互いに信じあってさえいればなんでもないですよ。心のうちは光風霽月こうふうせいげつですから」
謎の女 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
私はこの飄々乎ひょうひょうこたる樹庵の姿を見、持前の感傷癖から、彼のイデヤするものは畢竟ひっきょう、淡々たる光風霽月こうふうせいげつの境地なのであろう、と何かこう羨しげな気持で、物凄い音響の律動を夢見心地に
放浪作家の冒険 (新字新仮名) / 西尾正(著)
光風霽月こうふうせいげつだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)