光沢くわうたく)” の例文
旧字:光澤
或狂信者のポルトレエ——彼は皮膚に光沢くわうたくを持つてゐる。それから熱心に話す時はいつも片眼をつぶり、銃でもねらふやうにしないことはない。
耳目記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
汗あゆる鹿毛の平頸ひらくび浅間嶺の山肌のごとき光沢くわうたくにあり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
志賀直哉しがなほや氏の蔵する宋画そうぐわに、蓮花れんくわさぎとをゑがいたのがある。南蘋なんぴんなどの蓮の花は、このよりも所謂いはゆる写生に近い。花瓣のうすさや葉の光沢くわうたくは、もつと如実によじつに写してある。
支那の画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
同時に何か黒いものが一つ畠の隅へころげ落ちた。Kさんはそちらを見る拍子ひやうしに「又庭鳥にはとりがやられたな」と思つた。それは実際黒い羽根はねに青い光沢くわうたくを持つてゐるミノルカしゆの庭鳥にそつくりだつた。
素描三題 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)