傘入かさいれ)” の例文
その洋杖が土間の瀬戸物製の傘入かさいれに入れてあると、ははあ先生今日はうちにいるなと思いながら敬太郎は常に下宿のかど出入でいりした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
敬太郎はそのひまに例の洋杖ステッキ傘入かさいれからき取ったなり、き込むように羽織の下へ入れて、主人の座に帰らないうちにそっと表へ出た。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
敬太郎けいたろうは下宿の門口かどぐちくぐるとき何より先にまずこの洋杖に眼をつけた。というよりもみちすがらの聯想が、硝子戸ガラスどを開けるや否や、彼の眼を瀬戸物せともの傘入かさいれの方へ引きつけたのである。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)