伎芸天ぎげいてん)” の例文
ただ秋篠寺あきしのでら伎芸天ぎげいてん興福寺こうふくじの十大弟子のごとく不自然さの認められないものにおいてのみ、自分はこだわりなく没入し得たのであった。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
彼はそこにまつってある「伎芸天ぎげいてん」とともに暮らして少しもさびしくなかった。しかしそこは昼の家である。
しかも無限性を牽出ひきだすもの、こゝに吉祥天きちじょうてん伎芸天ぎげいてん弁財天べんざいてんなどゝいふ天女型の図像が仏菩薩ぼさつ像流行を奪つて製作され、中の幾つかゞ今日に残り、人間性の如何いか矛盾むじゅんであり
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
たとえば船乗は船魂ふなだま神社をまつり、大工左官は聖徳太子をあがめ、魚屋は恵比須えびすを、裁縫師は伎芸天ぎげいてんを、三味線や琴の師匠は吉祥天きっしょうてんを祭ると云ったように、それぞれの職域を神聖なものとして
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)