伊呂波いろは)” の例文
打棄うっちゃっておくと伊呂波いろは四十八文字を、みんな書きそうな形勢になって来たのには、持って生れたブッキラ棒の吾輩も負けちゃったね。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あるかなしかのさわやかな風が伊呂波いろはずしと染め抜いた柿色の暖簾のれんをなぶって、どうやら暑くさえなりそうな陽のにおい。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と峡田領に属し、浅草寺地及寺領地に係る。其間頗る錯綜し、容易に弁じ難きを以て、旧幕時代は伊呂波いろは番号を附し、世、よんで、伊呂波長屋と云へり。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
春田君はさらに、ABC分解やら伊呂波いろは分解や、五十音分解法などを応用して、その文章を検べに取掛った。
危し‼ 潜水艦の秘密 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
古いところでは『新撰字鏡しんせんじきょう』や『倭名類聚抄わみょうるいじゅしょう』それから大分おくれて『伊呂波いろは字類抄』などが、後々増補してほぼ現存の標準語の数をつくしているように見えるが
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
云わばすべての物のはじめ——例えて云うと伊呂波いろはのい、ABCのAなのだ。それから第二節——これが一番重要な点なんだよ。ねえ熊城君、それが双生児ふたごを生み給えり、——なんだろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)