仁田にた)” の例文
伊勢の仁田にた村では井戸世古いどせこの二つ井といって、一つは濁って洗濯にしか使われず、その隣りの井戸はまことによい水でありました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
東南に面する仁田にた峠とはまさに正反対である。正面には千々岩ちぢわ灘が見える。国見の頂の彼方かなたに大村湾が見える。佐世保させほ軍港の無電局が鮮明に見える。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
手帚てぼうきで根元を綺麗きれいに針金で編んだものがあります。八束やつか郡竹矢村大門の産で、丁寧な可憐な品であります。山間の仁田にた亀嵩かめだけ村は「出雲算盤いずもそろばん」で名を成しました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
およそ三十度の緩傾斜をなしている裾野から、西雲仙旧火山の外輪山である野岳の内側面に添うて、妙見と野岳をつらぬる一線仁田にた峠を目ざしてのぼって行くので
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
仁田にた峠の展望を素晴らしいといった私は、普賢の展望を何と形容していいか、なきに苦しむ。この眺望に接した私の歓喜を、この法悦境をどういい表わしたらいいであろう。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)