二戸にのへ)” の例文
ここは陸中国二戸にのへ郡浪打村字鳥越小字八木沢である。福岡に行く街道筋から一里ほど手前の所を左に折れてこの村に入る。
陸中雑記 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
(1)糠部郡は、いまの陸奥、陸中の二国に跨がった二戸にのへ三戸さんのへ九戸くのへの郡辺の総称である。昔ここに長者があった。
東奥異聞 (新字新仮名) / 佐々木喜善(著)
木のあるタイは特にニタイという。陸中胆沢いさわ郡姉体村または陸奥むつ二戸にのへ郡姉帯村などのアネタイなども、狭い傾斜地を意味するアイヌ語と解せらるるという。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかし南部椀と呼ばれるものの系統は、細々ながらも雑器のうちに伝っております。二戸にのへ郡の荒沢から荒屋新町にかけてうるしの業に従うものがすくなくありません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
当時俚人は陸蒸気おかじょうきだといって魂消た。岩手県二戸にのへ郡大野村などでは、大野中ほどに陸蒸気出来た、おまえ船頭でわし乗るべ、というような俗謡まで、できたほどである。
東奥異聞 (新字新仮名) / 佐々木喜善(著)
これは以前新渡戸にとべ博士から聴いたことで、やはり少しも作り事らしくない話である。陸中二戸にのへ郡の深山で、猟人が猟に入って野宿をしていると、不意に奥から出てきた人があった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
二戸にのへ郡の浪打なみうち鳥越とりごえが最も沢山作る部落であります。かくて近くの一戸いちのへ、福岡などの荒物屋に数多く運ばれます。南国の竹細工とは全く違うもので、細い篠竹を材料とします。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
陸中二戸にのへ郡の浄法寺じょうほうじ村などで、深山に木を伐る者の発見したというのは、例のマダの樹の皮で作った大草履で、その原料のマダの皮が、およそ馬七頭につけて戻るくらいの分量であったと話している。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
が飛騨の仕事のような雅致を残している所は、私の知る限り、独り陸中二戸にのへ郡の仕事だけである。何もそれをってしているのではない。識ったらおそらく駄目になるであろう。
陸中雑記 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)