二兎にと)” の例文
創立の当時は財政に窮乏きゅうぼうしてその発達はすこぶる困難であったが、またそれを救治せんとて企てた梓君の事業計画はあたかも二兎にとを追うの観があったが
東洋学人を懐う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
二兎にとを追う者は一兎をも得ずだ。余が意見に従って真一文字に比島ひとうを目指して攻撃したなら、あんなことはなかった。
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ようござんすかい、くれぐれもいっておきますが、二兎にとを追う者は一兎を得ずだ。両方のあなを手がけて、両方のホシを取り逃がしたら、お上の名にもかかわるんだからね。
「思わぬ獲物! すなわち二兎にとさ」グイと懐中へねじ込んだ時、小門にあたって女の足音。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)