乞兒かたゐ)” の例文
新字:乞児
セプチミウス・セヱルス帝の凱旋門に登るいしだんの上には、大外套被りて臥したる乞兒かたゐ二三人あり。いにしへの神殿のなごりなる高き石柱は、長き影を地上に印せり。
例の石級の下に老いたるめくら乞兒かたゐありて、往きかふ人の「バヨツコ」(我二錢ばかりに當る銅貨)一つ投げ入れむを願ひて、薄葉鐵トルヲの小筒をさら/\と鳴らし居たり。
乞兒かたゐは人に小銅貨をねだり、麪包パンをば買はで氷水を飮めり。二つに割りたる大西瓜の肉赤くさね黒きは、いづれの店にもありき。これをおもへばきて堪へがたし。