乞丐かたゐ)” の例文
かゝる折を待ちて盲目の乞丐かたゐ等また寺前に集まり憐れなる言葉をいだし、あはれなる姿を示してかの人々に物乞はんとするなり
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
案内者は皆この詞の誤らざるを證せり。一行の後には、さきの乞丐かたゐの群猶隨ひ來り、皆目をみはりて我等を打目守うちまもれり。
昔者むかしはカーライル、弊衣を着、破帽をいたゞいて、一日馬車を竜動ロンドン街頭にる。一市民見て声をあげて笑ふて曰く、かの乞丐かたゐの如くして傲然がうぜん車上にあるは誰ぞ、と。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あまたの児を伴れし乞丐かたゐの孤独なれ。
妄動 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
乞丐かたゐのやうな十二月が
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
既にして人々は乞丐かたゐの群にくるしめられて、酒店の軒に避けたれば、獨り立ち戻りて、盾銀たてぎん一つ握らせたり。
マリアとララとの相たるは驚くべき程なり。さるにても身に襤褸ぼろを纏ひて、髮に一束の董花すみれを揷みし乞丐かたゐの女の、能くヱネチア第一の美人と美をならぶるこそ不思議なれ。