九牛きゅうぎゅう)” の例文
黙れ黙れ、先祖以来、公儀の眼をかすめて貯えた金銀がうなるほどあるくせに、三千両は九牛きゅうぎゅう一毛いちもう
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いや何のそのような生易なまやさしいことが、と貞阿はわれとわが心をしかる。京の滅びなどの眼で見て来たことは、恐らくはこの度の大転変の現われの九牛きゅうぎゅうの一毛にしか過ぎまい。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
ところどころに、大嘘をさえ、まぜている。けれども、大体は、あの入江の家庭の姿を、写したものだ。一毛いちもうに於いて差異はあっても、九牛きゅうぎゅうに於いては、リアルであるというわけなのだ。
ろまん灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
もよおしのかかることは、ただ九牛きゅうぎゅう一毛いちもうに過ぎず候。凱旋門がいせんもんは申すまでもなく、一廓いっかく数百金を以て建られ候。あたかも記念碑の正面にむかひあひたるが見え候。またそのかたわらに、これこそ見物みものに候へ。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いや何のそのやうな生易なまやさしいことが、と貞阿はわれとわが心をしかる。京の滅びなどの眼で見て来たことは、恐らくはこの度の大転変の現はれの九牛きゅうぎゅうの一毛にしか過ぎまい。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)