乙女心をとめごゝろ)” の例文
乙女心をとめごゝろ薔薇ばらの花、ああ、まだ口もきかれぬぼんやりした薄紅うすあか生娘きむすめ乙女心をとめごゝろ薔薇ばらの花、まだおまへには話がなからう、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ああ是れ皆此の身、此の横笛のせしわざやいばこそ當てね、可惜あたら武士を手に掛けしも同じ事。——思へば思ふほど、乙女心をとめごゝろむねふさがりてくより外にせんすべもなし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
れば横笛、我れ故に武士一人に世を捨てさせしと思へば、乙女心をとめごゝろの一徹に思ひ返さんすべもなく、此の朝夕は只〻泣き暮らせども、影ならぬ身の失せもやらず
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)