両舷りょうげん)” の例文
旧字:兩舷
二万トンの××は高い両舷りょうげんの内外に無数の職工をたからせたまま、何度もいつにない苛立いらだたしさを感じた。
三つの窓 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
帆のほか、両舷りょうげん大櫓おおろもある。水夫かこたちは、えいや声をらした。風がない。たよるのは櫓であった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たちまちに気が揃って、与八ひとりが舟に乗せられ、素早く裸になった子供たちは、ざんぶざんぶと川へ飛び込んで、その舟を前から綱で引き、両舷りょうげんと後部から、エンヤエンヤと押し出して
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
本監視哨船の前方一マイルのところに於て、海面に波立つや、突然海面下より大型潜水艦とおぼしき艦艇現われ艦首を波上より高く空に向けたと見たる刹那せつな、該艦の両舷りょうげんより、するすると金色の翼が伸び
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして、すぐ、おのれ一人、かねて待たせておいた速舟はやぶねのうちに乗るやいな、両舷りょうげん水夫かこ
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)