不在証明アリバイ)” の例文
旧字:不在證明
つまり、僕等には伸子の不在証明アリバイを認めさせた、また、現象的に云うと、それが、上空へ上った飛沫しぶきに対流を起させたのだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
平次はそれから、その晩の家の者の出入りを調べてみましたが、五六日も経っていることで、誰も確かな不在証明アリバイを持っているものはありません。
私が、当前ママ、山の上を散歩していたということは、私の不在証明アリバイにさえなるかも知れぬ。このような滑稽な錯覚が現実にままあるらしい。きこりは私を忘れて、山のきこり仲間にふれ歩いた。
断崖の錯覚 (新字新仮名) / 太宰治黒木舜平(著)
……さっきも言ったようにもう二時間もすれば〈那覇〉というところで、なにか犯罪がおきる。これを予知しているのは〈通知〉の告知人と僕だけだ。不在証明アリバイはこの通り自然発生的に成立している。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
法水の死因闡明せんめいは、同時に甲冑を着せしめたところに、犯人の所在を指摘している。それを時間的に追及すると、伸子にのみ不在証明アリバイがない。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
お舟と和助と口を合せて、不在証明アリバイを作らないとも限らないわけですから、平次はその裏をかいて、昨夜お舟の家を覗いた者を捜し出そうとするのです。
「おい、岩井と総監とは一体全体どんな関係になっているんだ。……岩井が総監の身代りになって深川くんだりを巡視し、総監の不在証明アリバイをつくってやったというのはどんな因縁でやったことなんだ」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「いかにもその一事で、伸子の不在証明アリバイが裏書されるだろう。あの女は、異様な気体が窓の中へ入り込んでゆくのを見た——と云ったからね」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
八五郎は此処まで考えて来ると、矢張りお房と腰抜け彌八郎の外には、ことごとく不在証明アリバイを持って居ることを承認しないわけに行かなくなったのです。
所で、事件の直前から、犯人が夢殿の中に潜伏していたと云う事は、当時各自の動静に、確実な不在証明アリバイが挙がらなかったのを見ても明らかだろう。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
岩松は百方弁解しましたが、本所に亥刻よつ近くまで居たという、新吉の不在証明アリバイを知らなかったので、この上は救う道も尽きてしまったと思ったのでしょう。
「成程、動機と云えるものがない。それに、斯う云うダダッ広くて人間の少ない家の中では、元来不在証明アリバイを求めようとするのが、無理な話なんだよ」
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
一人一人当ってみましたが、手代の茂助も、下女のお金も、小僧の角太郎までも、知らぬ存ぜぬの一点張で、完全な不在証明アリバイを持っている者は一人もありません。
君は兇行後に凡ゆるものを原形に戻して置いた許りでなく、故意に自分の口から出さず他人に云わせて、不在証明アリバイを極めて自然な様に見せかけ様としたのだ。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
が、悲鳴を挙げたのがお辰だったとすると、今まで提供された不在証明アリバイにいろいろの支障が起ります。
もちろんそれは、姉さんの仕組んだ二つの不在証明アリバイの一つなのです。外側から鍵を下す技巧は相当幼稚なものですが、鐘声はその神秘感ばかりではありません。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
気の弱い新吉は、自分の臆病さを責めながらも、不在証明アリバイこしらえずにはいられなかったのでしょう。
ルキーンの奴は、イリヤの話は全部それに違いないと云うのだが、行くふりをした豪徳寺行だけは、飽くまで頑張り通している——なんてヘマな不在証明アリバイじゃないか。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
もっとも、お吉殺しの時の不在証明アリバイは持っていませんが、それには深い仔細のあることでしょう。
「法水さん、貴方ほどの方が、不在証明アリバイなんて云う、運命的な代物を信じようとはなさいますまいね。僕はこの通り、不在証明もなければ、空寝入りしようともしませんよ」
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
和七と仙之助は一応不在証明アリバイを持っているようですが、それが完全とは言いきれません。
別居して居る夫人の浪子と、懇意な立花秀子も一応は取調べられましたが、どちらも上等過ぎるほどの不在証明アリバイを持って居る為に、告発することなどは思いもよらなかったのです。
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼奴に不在証明アリバイが現われたんだ。朔郎の室の垣向うが、久八の家の台所になっているだろう。八時半頃其処で立ち働いていた久八の孫娘が、朔郎が時計を直している音を聴いたと云うのだ。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
何んと言うたより無さでしょう、これでは不在証明アリバイも持って居ないことになります。
悪魔の顔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
それに、めいめいあの当時の不在証明アリバイが判ったそうじゃありませんか。小保内さんにも母にもあるんですってね。すると、ロンネと淡路はどうなんですの。ですから、淡路さんにお聴きなさいってば。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
こうなると、不在証明アリバイのない奴が一番潔白だ——と。言いたくなるくらいです。
実はこれこそ不在証明アリバイ中の不在証明といえるじゃないか
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それに私は、完全な不在証明アリバイを持って居たのです。昨夜の十時十分頃から、今朝の九時まで——甚だ極りの悪いことですが——渋谷のアパートに、タイピストの香川礼子と一緒に居りました。
不在証明アリバイは吾妻屋の屋根の下に住んでいる者に限り、極めて完全です。
平次は細かく店中の者の不在証明アリバイを調べて行くのです。
此処にも上等過ぎるほど上等の不在証明アリバイがあります。
器用すぎるほど器用な不在証明アリバイを持っております。
この際不在証明アリバイとしては成立しません。