不具者かたはもの)” の例文
一方の眼は焮衝きんしやうを起して、そつちの方も矢つ張りお見えになりません。あの方は、もうどうすることもお出來になりません。まつたく——盲目めくら不具者かたはものなのですから。
この男には「自分は不具者かたはもの、自分は普通の人間と肩を並べることが出来ぬ不具もの」といふ考が、小児こどもの中からその頭脳にみ込んで居て、何かすぐれた事でも為ようと思ふと
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
三国屋さんごくやの亭主といふのは、長らく役場の使丁こづかひをした男で、身長せたけが五尺に一寸も足らぬ不具者かたはもの、齢は四十を越してゐるが、髯一本あるでなし、額の小皺を見なければ、まだホンの小若者としか見えない。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
愛嬌のある不具者かたはもの=絞首台氏のそのほとり
重右衛門も流石さすがに二の足を踏んだに相違ないが、余りに人から執念しふねく勧めらるゝので、それでは何うか好いやうにして下され、私等は、ハア、どうせ不具者かたはものでごすでと言つて承知して
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
愛嬌のある不具者かたはもの=絞首台氏のそのほとり