下半身しもはんしん)” の例文
それ深刻しんこく印度いんど化物ばけものとはくらべものにならぬ。たとへば、ケンタウルといふ惡神あくしん下半身しもはんしんうまで、上半身かみはんしん人間にんげんである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
岩の上に倒れてしまった「さん・せばすちあん」の下半身しもはんしん。彼の手は体を支えながら、偶然岩の上の十字架を捉える。始めは如何いかにもずと、それから又急にしっかりと。
誘惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この階段を上って出口へ行く乗客の男女別はその下半身しもはんしんから容易に解ったし
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
絶えず体に波を打たせていた蛇の下半身しもはんしんが、ずばたりと麦門冬りゅうのひげの植えてある雨垂落の上に落ちた。続いて上半身かみはんしんが這っていた窓の鴨居かもいの上をはずれて、首を籠に挿し込んだままぶらりと下がった。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)