三階松さんがいまつ)” の例文
「どうでも、好いさ。——まあ、ちっと休もうか」と甲野さんは蓮池れんちに渡した石橋せっきょう欄干らんかんに尻をかける。欄干の腰には大きな三階松さんがいまつが三寸の厚さをかして水に臨んでいる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うち霞む三階松さんがいまつの空にして尾長はぶかその尾ひらめく
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
黒い暖簾のれんがふわふわしている。白い字が染抜いてある。その次には頭をかすめるくらいに軒灯が出ていた。真中に三階松さんがいまつが書いて下にもととあった。その次には硝子ガラスの箱に軽焼かるやきあられが詰っていた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
靄ごめや三階松さんがいまつの塗笠の笠揺り畳ね今は梅雨時つゆどき
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)