万感ばんかん)” の例文
忠左衛門と内蔵助と、何方どちらも、ことば数の少い者同士が、二言ふたこと三言に、万感ばんかんを語りあっていると、九郎兵衛は用ありげに、その間に広間の方へ立ち去っていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万感ばんかん胸に迫って、むしろなんの感慨もないにひとしい。端座してしずかに庭のほうを眺めやると、築山つきやまの下に大きな白膠木ぬるでのもみじがあって、風が吹くたびにヒラヒラと枯葉を飛ばす。