一帳羅いっちょうら)” の例文
麦わら帽に白の夏服、それが横田君の一帳羅いっちょうらであるかも知れない。したがって、横田君といえばその麦わら帽と白い服を連想するのかも知れない。
西瓜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「何が面白くて、ひざっ小僧なんかで廻すんだ。早く申上げないと一帳羅いっちょうらり切れそうで、心配でならねエ」
まだ暗いうちに一帳羅いっちょうらのフロックコートを着て、金鎖きんぐさり胸高むなだかにかけて、玄関口に寄せかけた新調の自転車をながめながら、ニコニコ然と朝飯の膳に坐ったが
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
正月の七草ななくさのすんだころ、克子はまだ正月気分が忘れられなかったのか、お母さんの知らぬまに一帳羅いっちょうらの洋服を着て出ていき、大きな鉤裂かぎざきをこしらえてもどってきた。
赤いステッキ (新字新仮名) / 壺井栄(著)
先生は一帳羅いっちょうらの羽織とはかまをつけて出迎えた。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
急いで自分の一帳羅いっちょうら服に着かえてしまったのです。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ありゃあ借りてたんだよ。Sの一帳羅いっちょうらを。」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)