一己いつこ)” の例文
高直こうぢきに成り行き万民の難渋少からず、畢竟此者共荷高に応じ、広大の口銭を貪り取り候慾情より事起り、皇国の疲労を引出し、一己いつこの利に迷ひ、他の難渋を顧みず
一己いつこの利益から云へば競争者の無い方がい様な物の、印度インドの本土一般にわたつて日本シルクの販路は無限である。日本商人の為に同業の競争者の多数におこる事を望むと言つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
戸の外に筆記して居るものがあるも知れないです、——し私一己いつこの野心から申すならば、今まむなしく牢獄にとらはれて、特に只今たゞいま御話の如き暴行は、随分各国の獄裡ごくりに実験せられた所ですから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)