一人々々ひとりひとり)” の例文
と三人、一人々々ひとりひとり声をかけて通るうち、ながれのふちに爪立つまだつまで、細くなってかわしたが、なおおおいなる皮の風呂敷に、目を包まれる心地であった。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
汗をたらしてきずによく働いていたものだが、一人々々ひとりひとり皆死んでしまった今日きょうとなって見れば、あの人たちはこの世の中に生れて来ても来なくてもつまる処は同じようなものだった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)