“のぼりざか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
上坂80.0%
上阪20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「それは表門でござった……坂も広い。私が覚えたのは、もそっと道が狭うて、急な上坂のぼりざかの中途の処、煉瓦塀れんがべいが火のように赤う見えた。片側は一面な野の草で、いきれの可恐おそろしい処でありましたよ。」
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まさか、この破屋に、——いや、この松と、それよりこずえの少し高い、ついの松が、破屋の横にややまた上坂のぼりざかの上にあって、根は分れつつ、枝は連理につらなった、濃いみどり色越いろごしに、額を捧げて御堂がある。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
途中で見た上阪のぼりざかの中途に、ばりばりと月にてた廻縁まわりえん総硝子そうがらす紅色べにいろの屋号の電燈が怪しき流星のごとき光を放つ。峰から見透みとおしに高い四階は落着かない。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)