“づさう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
豆相50.0%
頭瘡50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
青年は死場所を求めて、箱根から豆相づさうの間を逍遥さまよつてゐたのだつた。彼の奇禍は、彼の望みどほりに、偽りの贈り物を、彼の純真な血で真赤に染めたのだ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
あにいさんの死は、形は奇禍のやうですが、心持は自殺です。私は、さう断言したいのです。お兄さんは、死場所を求めて、三保から豆相づさうの間を彷徨さまよつてゐたのです。奇禍が偶然におあにいさんの自殺を
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
中村家の隠居、——伝法肌でんぽふはだの老人は、その庭に面した母屋おもや炬燵こたつに、頭瘡づさうを病んだ老妻と、碁を打つたり花合せをしたり、屈託のない日を暮してゐた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
父に別れた一粒種の子供、——廉一れんいちも母が血を吐いてからは、毎晩祖母と寝かせられた。祖母は床へはひる前に、かならず頭に手拭をかぶつた。それでも頭瘡づさうの臭気をたよりに、夜更よふけには鼠が近寄つて来た。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)