“そつぜん”の漢字の書き方と例文
語句割合
卒然100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
水草も魚の影も卒然そつぜんと渠の視界から消え去り、急に、もいわれぬ蘭麝らんじゃにおいが漂うてきた。と思うと、見慣れぬ二人の人物がこちらへ進んで来るのを渠は見た。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それでS、Hとこゝでつたのをさいわひにわたし手軽てがるにそのことはなしたのであつた。するとS、Hは「危険きけんだな——」といふやうな口吻こうふん卒然そつぜんらしたものであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
しかしその刀と並んでいる坤竜丸を眼にするたびに、かれは何よりも先に一時斬って棄てねばならぬわが心中の私情に気がついて、卒然そつぜんとして襟を正し肩を張るのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)