“すておぶね”の漢字の書き方と例文
語句割合
捨小舟100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ふと、妙だな? と思って見たのは、よしの間に投げ散らされてあるとまむしろ——そして、その時初めて気がつくと、綱を解かれた捨小舟すておぶねが、ゆるい猫間川の水に押されて、はるかのしもへ流されてゆく。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうせ一度は捨小舟すておぶねの寄辺ない身に成ろうも知れぬと兼て覚悟をして見ても、其処そこ凡夫ぼんぶのかなしさで、あやうきに慣れて見れば苦にもならずあてに成らぬ事を宛にして、文三は今歳の暮にはお袋を引取ッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
美女 あの、捨小舟すておぶねに流されて、海のにえに取られてく、あの、(みまわす)これが、嬉しい事なのでしょうか。めでたい事なのでしょうかねえ。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)