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こぎだ
聞けば、向う岸の、むら
萩に
庵の見える、
船主の料理屋には
最う
交渉済で、二人は
慰みに、此から
漕出さうとする
処だつた。
河中へ
漕出して
深水へ沈めにかけるより仕様は有るめえが、何か重い物を
身体に巻附けたいと思うが、あの団子を売る
葮簀張の
処に
力持をする石が有るから、縄も一緒に探して持って
来や
嘉吉が、そこで、はい、
櫓を握って、ぎっちらこ。幽霊船の
歩に取られたような顔つきで、
漕出したげでござりますが、酒の
匂に我慢が出来ず……