“くうせき”の漢字の書き方と例文
語句割合
空席100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
遠くの呼鈴ベルが鳴つた。間もなく三人の婦人がこの室に這入つて來た。銘々めい/\卓子テエブルについて座をめ、ミラア先生は四番目の空席くうせきに腰を下した。
一本歯の抜けたような松山の空席くうせきが、帆村の眼に或るいやな気持をよびおこさしめた。それは不吉ふきつな風景である。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし彼是かれこれ十分ののち銀座四丁目ぎんざよんちやうめから電車に乗ると、すぐに又彼等も同じ電車へ姿を現したのは奇遇きぐうである。電車はこみ合つてはゐなかつたものの、空席くうせきはやつと一つしかない。
鷺と鴛鴦 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
聖書のやうに大きな本が空席くうせきの前のそれ/″\の卓子テエブルの上に載つてゐた。生徒達の低いとりとめのない私語さゝやきで充ちた幾分かゞ續いた。ミラア先生はこの不分明な音をしづめに組から組を歩いて𢌞つた。