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きはつゆ
たしかに、今まで見えていたものが、
揮発油のシミのように蒸発してしまったのだ。
己の精神は、アルコオルや
揮発油よりももっと
蒸発力の強い
気体のようなもので、いくら
壜詰めにされても、キルクや
封蝋で密閉されても、
纔な隙間からどんどん上昇して行くのだった。
「まあ、かわいそうに、なんて
誠さんは、
乱暴なことをするのでしょう。いま
私がもちを
取ってあげてよ。」と、いって、
奥から
揮発油を
綿にしませてきて、
丁寧に
羽をふいてやりました。