“きけんじょう”の漢字の書き方と例文
語句割合
喜見城100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
蟹に乗ってら、曲馬の人魚だ、といううちに、その喜見城きけんじょうを離れて行く筈の電車が、もう一度、真下の雨にただよって、出て来た魚市の方へはしるのです。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
共にしたとはいうけれど、譬えば一家の主僕しゅうぼくがその家を、輿こしを、犬を、三の食事を、むちを共にしていると変った事はない。一人のためにはその家は喜見城きけんじょうで、一人のためには牢獄ろうごくだ。
魚市の鯛、かれい烏賊いかたこを眼下に見て、薄暗いしずくに——人の影を泳がせた処は、喜見城きけんじょう出現と云ったおもむきもありますが。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時として見るものは、沖のその影を、真珠の光と見る。ゆびさすものは、喜見城きけんじょう幻景まぼろしに迷うのです。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)