“きくじどう”の漢字の書き方と例文
語句割合
菊慈童100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かれは、幾日も幾日も、下描きしては描き直していた菊慈童きくじどうの相貌を——生きているその顔を——いま目に見たような気がしたのである。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
背中一面に一人は菊慈童きくじどう、一人は般若はんにゃの面の刺青ほりものをした船頭がもやいを解くと共にとんと一突ひとつき桟橋さんばしからへさきを突放すと、一同を乗せた屋根船は丁度今がさかり上汐あげしおに送られ
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
おととい、大書院いちめんのふすまに、菊の図を構想し、さらに渓流けいりゅうのそばに菊慈童きくじどうを配すつもりで、その容貌に腐心ふしんしていると——いつのまにか秀吉がうしろに来て眺めていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その頃金富町かなとみちょうなるわが家の抱車夫かかえしゃふに虎蔵とて背に菊慈童きくじどうの筋ぼりしたるものあり。その父はむかし町方まちかたの手先なりしとか。老いて盲目めしいとなりせがれ虎蔵の世話になり極楽水の裏屋に住ひゐたり。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)