“うすあかる”の漢字の書き方と例文
語句割合
薄明100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あおざめた小男は、第二の石段の上へ出た。沼のたような、自然の丘をめぐらした、清らかな境内は、坂道の暗さに似ず、つらつらと濡れつつ薄明うすあかるい。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、おれの心の中には、今までの疲労と倦怠との代りに、何時いつか静な悦びがしつとりと薄明うすあかるあふれてゐた。あの二人が死んだと思つたのは、憐むべきおれの迷ひたるに過ぎない。
東洋の秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
寂しくわが邸を志して、その浅草新堀の西福寺——震災後どうなったか判らない——寺の裏道、卵塔場の垣外へ来かかると、雨上りで、妙に墓原が薄明うすあかるいのに、前途ゆくてが暗い。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)