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請
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しょう
ふりがな文庫
“
請
(
しょう
)” の例文
夏の日、大切なお客が来るとわたしは彼をそこへ
請
(
しょう
)
じ入れた。このうえない召使いが床をぬぐい、家具の塵をはらい、
什器
(
じゅうき
)
を整頓した。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
彼はにわかに、こう謝して、賓客の礼を与え、座に
請
(
しょう
)
じて、あらためて闞沢の使いをねぎらい、酒宴をもうけて、さらに意見を求めた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今まで姿を見せなかったのは、つまり、この不時の珍客のために、奥の座敷に手入れをして、
請
(
しょう
)
じまいらすべき室をしつらえていたのだ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たびたび来ているとみえて、顔なじみらしい女中がふたり、あたふたと顔を並べ乍ら下へもおかずに新兵衛を
請
(
しょう
)
じあげた。
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と社長は食後僕達を別間に
請
(
しょう
)
じて、お礼を述べながら、金一封を尚子に推し進めた。足繁く通って貰った車代だと言う。
人生正会員
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
再
己
(
おの
)
が世が来た、とほくそ笑みをした——が、氏の神祭りにも、語部を
請
(
しょう
)
じて、神語りを語らそうともせられなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
二階の書斎に
請
(
しょう
)
じ入れると、背広姿の花田警部は、ニコニコして、ジョニー・ウォーカーのグラスを受けた。むろん、あの夜のウィスキーではない。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すると天和堂のお
内儀
(
かみ
)
さんはかねて知合いと見えて、さっそく椅子を指してどうかお掛け下さいと言って
請
(
しょう
)
じたです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
僕はK君を置き炬燵に
請
(
しょう
)
じ、差し当りの用談をすませることにした。
縞
(
しま
)
の背広を着たK君はもとは
奉天
(
ほうてん
)
の特派員、——今は本社詰めの新聞記者だった。
年末の一日
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
まあお客様からと
請
(
しょう
)
じたら、「私も一緒に御免蒙りましょう」と婦人が云って、夫婦一緒にさっさと入って了った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
刑部はこれを疑う材料もなかったので、一室に
請
(
しょう
)
じて、万一の場合、後で苦情をいわれぬくらいには歓待した。
三浦右衛門の最後
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
金帛
(
きんはく
)
を以て謝することの出来ぬものも、米穀
菜蔬
(
さいそ
)
を
輸
(
おく
)
って
庖厨
(
ほうちゅう
)
を
賑
(
にぎわ
)
した。後には遠方から
轎
(
かご
)
を以て迎えられることもある。馬を以て
請
(
しょう
)
ぜられることもある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
入り口ですまそうとするのを、「まアまアほんとうにお久しぶりでしたね」と無理に奥の座敷へと
請
(
しょう
)
された。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
と
説諭
(
せつゆ
)
されましたので、勝五郎は
彼
(
か
)
の尋ねてまいったお若と伊之助、それに
忰
(
せがれ
)
の岩次をつれて参りました。高根晋齋は三人の親子を奥へ
請
(
しょう
)
じて対面に相成りまする。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「——
鱧
(
はも
)
あみだ
仏
(
ぶつ
)
、はも仏と唱うれば、
鮒
(
ふな
)
らく世界に生れ、
鯒
(
こち
)
へ鯒へと
請
(
しょう
)
ぜられ……仏と
雑魚
(
ざこ
)
して居べし。されば……
干鯛
(
ひだい
)
貝らいし、真経には、
蛸
(
たこ
)
とくあのく
鱈
(
たら
)
——」
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時一人の
檀那
(
だんな
)
が栄西を
請
(
しょう
)
じて絹一疋を施した。栄西は歓喜のあまり人にも持たしめず、自ら懐中して寺に帰り、知事に与えて言った、「さあこれが明日の朝の粥だ」。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
加賀の金沢などではこの遊びをオジャコトといっている。御座は
年忌
(
ねんき
)
でなくとも僧を
請
(
しょう
)
じ、説教を
聴聞
(
ちょうもん
)
する
人寄
(
ひとよ
)
せであるが、やはり法事のように食物が出たものと思われる。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
炉
(
いろり
)
の
附近
(
まわり
)
に四人の男女が控えて
為
(
い
)
た。男は怪量を
上座
(
じょうざ
)
へ
請
(
しょう
)
じてから四人を
揮
(
ふ
)
り返った。
轆轤首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
あわてて火鉢の前に
請
(
しょう
)
ずる機転の
遅鈍
(
まずき
)
も、正直ばかりで
世態
(
よ
)
を
知悉
(
のみこ
)
まぬ姿なるべし。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
諸国に
率先
(
そっせん
)
して、婦人の団結を
謀
(
はか
)
り、しばしば志士
論客
(
ろんかく
)
を
請
(
しょう
)
じては
天賦
(
てんぷ
)
人権自由平等の説を聴き、おさおさ女子古来の
陋習
(
ろうしゅう
)
を破らん事を務めしに、風潮の向かう所入会者引きも切らず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
心ゆくばかり半日を語り尽して酒亭を出でしが表通は相撲の打出し間際にて電車の雑沓
甚
(
はなはだ
)
しかりければ、しばしが
間
(
うち
)
とて再びわが
隠家
(
かくれが
)
の二階に
請
(
しょう
)
じて初夜過ぐる頃までも語りつづけぬ。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
恭
(
うや/\
)
しく持佛堂に
請
(
しょう
)
じ入れて、深夜の御光臨は何御用にて
候哉
(
そうろうや
)
と問うと、丞相の霊が答えて、自分は口惜しくも
濁世
(
じょくせ
)
に生れ合わせて無実の讒奏を
蒙
(
こうむ
)
り、
左遷流罪
(
させんるざい
)
の身となったについては
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ねんごろに客間に
請
(
しょう
)
ぜし加藤夫人もその話の要件を聞くよりはたと胸をつきぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
這
(
こ
)
は如何にとて皆々
走
(
は
)
せまどひ、
御酒肴
(
ごしゅこう
)
取りあへず奥座敷に
請
(
しょう
)
じ参らするうち、妾も化粧をあらためて御席にまかり出で侍りしが、
彼
(
か
)
の御仁体を
見奉
(
みたてまつ
)
るに、半面は焼け
爛
(
ただ
)
れて
偏
(
ひと
)
へに土くれの如く
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
死苦に臨むもなお一旦吐いた毒を
収
(
とりい
)
れず、いわんや今更に棄つるところの薬を収めんやと。『
十誦律毘尼序
(
じゅうじゅりつびにじょ
)
』にこの譚の異伝あり。大要を挙げんに、
舎婆提
(
しゃばてい
)
の一居士諸僧を
請
(
しょう
)
ぜしに舎利弗上座たり。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
日は急がしきにつれて矢のごとく飛びぬ。露深く霧白く、庭の
錦木
(
にしきぎ
)
の色にほのめくある朝のこと、突然車を寄せて笑ましげに入り来るは辰弥なり。善平は待ち構えたるごとく喜び立って上に
請
(
しょう
)
じぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
郭中
(
かくちゅう
)
は一面
燦々
(
さんさん
)
たる燈燭である。中央のひろい一殿に、彼は
請
(
しょう
)
じられた。しかし彼は、
椅子
(
いす
)
に
倚
(
よ
)
らず、宋江を見ると、下に坐って
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
建久二年の頃法然を
請
(
しょう
)
じて大仏殿のまだ半作であった軒の下で
観経
(
かんぎょう
)
の
曼陀羅
(
まんだら
)
、浄土五祖の姿を供養し、浄土の三部経を講じて貰うことになったが
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
請
(
しょう
)
ぜられるまゝに上り込むと、主人公は同僚の長谷川君と対局していた。斯ういう場合千吉君は覚悟が好い。分っても分らなくても神妙に見物している。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
主人は疲れて大にいやであったが、遠方から来たものを、と勉強して兎に角戸をあけて内に
請
(
しょう
)
じた。
吉祥寺
(
きちじょうじ
)
から来たと云う車夫は、
柳行李
(
やなぎごうり
)
を置いて帰った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
貞固は留守居に任ぜられた日に、家に帰るとすぐに、
折簡
(
せっかん
)
して抽斎を
請
(
しょう
)
じた。そして
容
(
かたち
)
を改めていった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ひとりで心得、ひとりでせかせかとはしゃぎながら座敷を取りかたづけると、やがて
請
(
しょう
)
じあげてきた者は、まこと天女ではないかと思われる一個の容易ならぬ美人でした。
右門捕物帖:18 明月一夜騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
懐奘を初めて
首座
(
しゅそ
)
に
請
(
しょう
)
じた夜、道元は衆に向かって言った、——当寺初めて首座を請じて今日
秉払
(
ひんぽつ
)
を行なわせる。
衆
(
しゅ
)
の少なきを憂うるなかれ。身の初心なるを顧みるなかれ。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
手をとらんばかりにして、廊下のドアをひらき、書斎らしい洋間に
請
(
しょう
)
じ入れた。
悪霊物語
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
有験
(
うげん
)
の高僧貴僧百人、
神泉苑
(
しんせんえん
)
の池にて、
仁王経
(
にんおうきょう
)
を
講
(
こう
)
じ
奉
(
たてまつ
)
らば、
八大竜王
(
はちだいりゅうおう
)
も
慈現
(
じげん
)
納受
(
のうじゅ
)
たれ
給
(
たま
)
ふべし、と申しければ、百人の高僧貴僧を
請
(
しょう
)
じ、仁王経を講ぜられしかども、
其験
(
そのしるし
)
もなかりけり。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
且角倉氏は誓願寺の中興教山上人を
請
(
しょう
)
じて導師とし、死者に各法号を授けて無縁塔に刻し、大佛殿建築の残材、
聚楽第
(
じゅらくだい
)
の建物を譲り受けて一寺を創建し、幕府の許可を得て慈周山瑞泉寺と号した。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
固
(
もと
)
より
如何
(
いか
)
なる人にても、かつて面会を
拒
(
こば
)
みし事のなき妾は、直ちに書生をして
客室
(
かくしつ
)
に
請
(
しょう
)
ぜしめ、
頓
(
やが
)
て出でて面せしに、何思いけん氏は妾の顔を
凝視
(
ぎょうし
)
しつつ、口の内にてこれは意外これは意外といい
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
と奥の間へ案内をして
上座
(
かみざ
)
に
請
(
しょう
)
じ、伴藏は
慇懃
(
いんぎん
)
に両手をつかえ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かの比丘を
請
(
しょう
)
じて説法せしめると、一同開悟せぬはなかった。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と、彼は畏るる孟獲の手をとって、帳上に
請
(
しょう
)
じ、夫人一族にも席をあたえて、歓宴を共にし、また杯と杯とを以て、こう約した。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と目を円くして取次いだのには
尠
(
すくな
)
からず驚いた。家までついて来たのである。大谷夫人は玄関へ出て
請
(
しょう
)
じたが、丸尾夫人はお辞儀をするばかりで応じない。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
朝、珍らしく
角田
(
つのだ
)
の新五郎さんが来た。何事か知らぬが、もうこゝでと云うのを無理やりに
座敷
(
ざしき
)
に
請
(
しょう
)
じた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
とお雪ちゃんが、関守氏の相当な足ごしらえを見ながら、炉辺に
請
(
しょう
)
じますと、関守氏は
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ことばゆかしく
請
(
しょう
)
じながら、いっときも待ちきれないというように、そこの床の間に飾ってある桃の節句の祝い
雛
(
びな
)
を指さしたので、静かに見ながめると、なにさまちと不審なのです。
右門捕物帖:22 因縁の女夫雛
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
有験
(
うげん
)
の高僧貴僧百人、神泉苑の池にて、
仁王経
(
にんのうきょう
)
を講じ奉らば、八大竜王も
慈現納受
(
じげんのうじゅ
)
たれ給うべし、と申しければ、百人の高僧貴僧を
請
(
しょう
)
じ、仁王経を講ぜられしかども、その
験
(
しるし
)
もなかりけり。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兎も角も奥へ
請
(
しょう
)
じ入れて、徳善院へその旨を知らせ、指図を仰いだ。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
社会部記者と称する男は、
寧
(
むし
)
ろ
快
(
こころよ
)
く支配人の部屋へ
請
(
しょう
)
じられた。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「わたくしから、玉清観の道主におすがりしたのじゃ。天下の道士を
請
(
しょう
)
じて香を焚き、行を営んで、鬼神のお怒りをなだめていただくように」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と夫人も斎藤さんを
請
(
しょう
)
じながら、俊一君に目まぜをした。心配しなくても宜いよという意味だった。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
上西門院は深く法然に帰依していたが、或時法然を
請
(
しょう
)
じて七カ日の間
説戒
(
せっかい
)
があったが、円戒の奥旨を述べていると一つの蛇がカラガキの上に七日の間じっとして聴聞の様子に見えた。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“請”の意味
《名詞》
(ショウ)願うこと。招くこと。
(ショウ)律令制で五位以上の貴族などに適用された刑法上の特典。
(出典:Wiktionary)
請
常用漢字
中学
部首:⾔
15画
“請”を含む語句
強請
請取
請求
請合
請負
起請
請待
普請
勧請
起請文
安請合
請願
招請
申請
請引
身請
小普請
請出
請負師
仮普請
...