)” の例文
「間違ひもなく首をくゝつて、——それも檢死の樣子では、人にめられたのでは無くて、自分で首を縊つた年寄の巡禮だつたんです」
「わが夫の神よ、それではこのしかえしに、日本じゅうの人を一日に千人ずつめ殺してゆきますから、そう思っていらっしゃいまし」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
める時、花のようなくちびるがぴりぴりとふるうた」「き通るようなひたいに紫色の筋が出た」「あのうなった声がまだ耳に付いている」
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
万年筆は、園長を館の入口でめあげるときに落ちたもので、それを後に何かの事情があって遺失品いしつひんとして届けたものであろう。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その沈黙はたちまちのように、色を失った陳の額へ、冷たい脂汗あぶらあせを絞り出した。彼はわなわなふるえる手に、戸のノッブを探り当てた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし何者かに口をふさがれ、咽喉のどめられつゝも、懸命に抵抗しているように、今にも呼吸が詰まりそうに云うのであった。
殺害して、例えば毒殺するなり、め殺すなりしてだね。それからこの淋しい場所へ運んで来て、ソッと叢の中へ隠して置いたという考え方だ
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
立廻たちまわりの間に帯が解け襦袢じゅばん一枚になった女を押えつけてナイフで乳をえぐったり、咽喉のどめたりするところは最も必要な見世場みせばとされているらしい。
裸体談義 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかし、梶はそこで、急いで栖方の口をめさせたかった。それ以上の発言は栖方の生命にかかわることである。青年は危険の限界を知らぬものだ。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「うぬ!畜生!」とルパンはショルムスに飛びついて咽喉のどめ上げた。ショルムスは苦しさに身をもがくばかり。
当り前のったりめたりする遊びなんかじゃ我慢出来ないの……一と思いにあんたを殺すかどうかしてしまわなくちゃトテモやり切れないと思うくらい
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
たくさんのそういう犬どもがひっぱり出されてめ殺されたし、この次の部屋(わしの寝室)では、わしたちの知っているところでも、一人の奴などは
あのクリストの磔刑はりつけの像よりも更に血の汗を浴びて、まるで首をめられている人のように感じました。
「主人公が父や母の首をめたり、溺死者が出て来たりしないような小説にして下さい。わたしは水死した人たちのことを見たり聞いたりするのが恐ろしくってね」
石は私の足の下から轉げ落ち、掴んだ常春藤きづたの枝は切れ、赤ン坊は恐ろしがつて私の首にすがりついて危く私をめ殺しさうになるのです。やつと頂上に來ました。
拳闘けんとう柔道じゅうどうでは、そのやり方がまるでちがう。拳闘はなぐるいっぽうである。柔道は投げる、おさえこむ、める、ぎゃくをとるというわざだ。どうして試合をしたらいいか。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
その力は、ものすごく強かった。博士はドアを開けさせまいとして、奮闘ふんとうした。ドアのすきからガウンのうでがのびた。博士はのどをめつけられ、把手をはなした。
麻油は驚いた。が非力ひりきな伊豆をいっぺんにね返すと、あべこべに伊豆の首筋をとらえて有無を云わせずにめつけた。伊豆はばたばたもがいて危く悶絶もんぜつするところまでいった。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
そうだ、君があんなにぱすぱすとしゃべるまではなかったんさ。己は、あんな大金てえきんを手に入れそこねるし、おまけに首をめられるとなったんで、やけっぱちになりかかっていた。
「その家は何かにたたられているんですよ。雇い婆さんは眼を大きくあいたままで、寝床のなかに死んでいたんです。世間の評判じゃあ、化け物にめ殺されたんだと言いますが……」
掻拂かきはらをぐる/\きに、二捲ふたまきいてぎり/\と咽喉のどめる、しめらるゝくるしさに、うむ、とうめいて、あしそらざまに仰反そりかへる、と、膏汗あぶらあせ身體からだしぼつて、さつかぜめた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
知らず知らず自分は、神尾主膳をめ殺してしまったものらしくあります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これはあなぐらの中や又は森の片すみで、人をめ殺しながら歌われたのである。
瞬間しゅんかん、ア、しまった、と思った時にはすでにおそく、そのすきに立ち直った沢村さんが、「貴様やる気だな」とさけびざま、ぼくをきとばすと、ぐのしかかって来て、ぼくのくびめつけました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ちかき野にのどめらるるたはのゆるき痙攣けいれん
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
め上げた上、本當にあれが木枯小僧の傳次なら、人樣の手を借りるまでもない、この平次が其場で繩を打つて、三輪の親分に引渡さう
二重ふたえに細い咽喉のどを巻いている胞を、あの細い所を通す時に外しそくなったので、小児こどもはぐっと気管をめられて窒息してしまったのである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
このままじっとしていたら、め殺されるばかりだ。どうせ死ぬ命なら、この怪物を道連れに、いちばちか、命がけの冒険をやってみようと決心した。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
オルガは唇を噛みめると、黙って泣きながら、参木の腕をぐいぐい引いた。参木はオルガの力に抵抗しながらも、足が辷って寝台の方へ引きられた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「離さないか。貴様こそ、——ああ、喉がまる。——あれほど離すと云った癖に、貴様こそ嘘をつく奴だ。」
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
といっても、人間とちがうのだから、められたり、刺しころされたり、頭を割られたりしているのではない。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
首をもうすこしで死ぬとこまでめられたり、縛って宙釣りにされたり、髪毛かみのけだけで吊るされたりして、とても我慢出来ない位、苦しかったり痛かったりしたのよ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それを考えただけでも己は頸がこわばるくれえだ。多分、手前らも見たことがあるだろう、鎖でめ殺されて、鳥がその周りに集ってる奴らを。しおで流されてゆくのを船乗が指してるんだ。
掻拂かつぱらを、ぐる/\きに、二捲ふたまきいてぎり/\と咽喉のどめる、しめらるゝくるしさに、うむ、とうめいて、あしそらざまに仰反のけぞる、と、膏汗あぶらあせ身體みうちしぼつて、さつかぜめた。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二重ふたへほそ咽喉のどいてゐるえなを、あのほそところとほときはづそくなつたので、小兒こどもはぐつと氣管きくわんめられて窒息ちつそくして仕舞しまつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その紐でめられた白粉おしろいっ気もない顔は、涙を誘う初々ういういしさと、邪念のない美しさを、末期まつごの苦悩も奪うよしはなかったのです。
一つはビイアスの小説だが、この怪物が通ることは、唯草が動くので知れる。もつとも動物には見えると見えて、犬がえたり、鳥が逃げたりする、しまひに人間がめ殺される。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
首の所は、よくは分らぬが、どうやら、められたきずが紫色になっているらしい。
D坂の殺人事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
喉佛のどぼとけの碎けて居る樣子や、たいした抵抗もなくやられた樣子は、明らかに恐しい剛力で後ろからめたものに違ひありません。
「ホホホホホホ、どうもしないの。あなたをめ殺すのよ。分って? 鳥井さん」
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
万一縄の具合で死に切れぬ時は再度ふたたび同様の刑罰を受くべきものだとしてありますが、妙な事にはピヤース・プローマンの中には仮令たとい兇漢でも二度める法はないと云う句があるのです。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしはこの部屋のまん中に立ち、片手に彼女をめ殺そうとしていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「そんな證據は殘さねえが、首をめて殺した上、生き返つちや惡いと思つたか、玄能げんのうで頭を叩き割つて行つた」
「ええ顔を洗うたんびに鵝鳥がちょうめ殺されるような声を出す人でござんす」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
場所は亡き善五郎が溜め込んだおびたゞしい錢箱の前、お茂與は細引で喉をめられて、黄金の中に死んで居たのです。
「母親と一緒に風呂へ行つた歸り、——一と足先に歸つて來たところを路地の中でめられて——」
「母親と一緒に風呂へ行った帰り、——一と足先に帰って来たところを路地の中でめられて——」
刺される前に死んで居たとすれば、毒害でなければ、首をめられたことだらうと思つたが、首筋に絞め殺した跡が無い。そこでフト、柔術の絞めのことを考へたよ。
「細引でわなこさへて自分の首をくゞらせ、足を伸ばして自分で首をめるといふのは、新手ですね」
「それが、伯父の死骸は仰向になつて居るから、伊之吉が變な顏をしたのも無理はありません。その上、首をめた丈夫な紐が、後ろで結んである。尚ほ變ぢやありませんか」