不案内ふあんない)” の例文
ではい。一所いつしよさがしにかけやうとふと、いや/\山坂やまさか不案内ふあんない客人きやくじんが、やみ夜路よみちぢや、がけだ、たにだで、かへつて足手絡あしてまとひにる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
に、ケースをげて、不案内ふあんない狭苦せまくるしいまちなかへはいりました。みちも、屋根やねも、一めんゆきにおおわれていました。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
おどけものの鳥は、ガンたちが道に不案内ふあんないなのを見てとりますと、さかんにガンたちを迷わせようとします。
きゝ段々厚き御世話に相成る事千萬忝けなし私し共に江戸は始めてなれば一かう不案内ふあんないにて知人しるひととても更に是なしと云ければ長兵衞はくびかたむけ夫ではまづ私しが此事御世話を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小栗等の目的もくてき一意いちい軍備のもといかたうするがために幕末財政ざいせい窮迫きゅうはく最中さいちゅうにもかかわらずふるってこの計画けいかくくわだてたるに外ならずといえども、日本人がかかる事には全く不案内ふあんないなる時に際し
どういふふうくものやら全然まるで不案内ふあんないであつたがチヨークでいたたことは度々たび/\あり、たゞこれまで自分じぶんかないのは到底たうてい自分じぶんどものちからおよばぬものとあきらめてたからなので
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
をとこにてもあれかしと敢果はかなきことうらなひて、表面うわべ無情つれなくつくれども、子安こやすのおまもなにくれと、ひとよりきてことそのまゝ、不案内ふあんないをとこなれば間違まちがひだらけ取添とりそへて、美尾みをはゝ萬端ばんたんたのめば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
途次みちすがらきこえた鬼門關きもんくわんぎようとして、不案内ふあんないみち踏迷ふみまよつて、やつ辿着たどりついたのが古廟こべうで、べろんとひたひ禿げた大王だいわうが、正面しやうめんくちくわつけてござる、うらたゞひと
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
引誘さそひ納涼すゞみに出し歸りがけ船中せんちうよりすぐに吉原の燈籠とうろうを見物せんとすゝめけるに吉之助は御當地ごたうちはじめての事なれば吉原はべつして不案内ふあんないゆゑかた辭退ことわり此日は漸々やう/\宿やどへ歸り番頭傳兵衞に此事をはなしければ傳兵衞かうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
……そのうち場所ばしよことだから、べつあひでもないが、柳橋やなぎばしのらしい藝妓げいしやが、青山あをやま知邊しるべげるのだけれど、途中とちう不案内ふあんないだし、一人ひとりぢや可恐こはいから、にいさんおくつてくださいな、といつたので、おい
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
聞きまづ寛々ゆる/\と御逗留遊ばさるべししかし貴方あなたがたには江戸表不案内ふあんないと申事なれば爰によきさいはひあり私し兄江戸馬喰町二丁目に武藏屋むさしや長兵衞と申て當時たうじ旅宿りよしゆくを致して居るにより是へ先御落着ありて寛々ゆる/\江戸見物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)