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一層
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いつそ
ふりがな文庫
“
一層
(
いつそ
)” の例文
一層
(
いつそ
)
此方
(
こつち
)
から進んで、直接に
三千代
(
みちよ
)
を喜ばしてやる方が遥かに愉快だといふ取捨の念丈は殆んど理窟を離れて、
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
に
潜
(
ひそ
)
んでゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
鼠色
(
ねずみいろ
)
の
空
(
そら
)
はどんよりとして、
流
(
なが
)
るゝ
雲
(
くも
)
も
何
(
なん
)
にもない。なか/\
氣
(
き
)
が
晴々
(
せい/\
)
しないから、
一層
(
いつそ
)
海端
(
うみばた
)
へ
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ようと
思
(
おも
)
つて、さて、ぶら/\。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『さうだ、
一層
(
いつそ
)
死んでやらうかしら。純真な男性の感情を弄ぶことが、どんなに危険であるかを、彼女に思ひ知らせるために。』
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
『一升五合位なもんでせう。皆下地のあつたところへ酒が悪かつたから、
一層
(
いつそ
)
利いたのですよ。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
けふは頭が
朦朧
(
もうろう
)
として不愉快で
溜
(
た
)
まらない。
一層
(
いつそ
)
のこと下宿住ひをしてもいいと思立つて、午前中から、教室から程遠くない所といふ見当を附けて下宿を見廻つて歩いた。
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
一層
(
いつそ
)
事実らしいものがなかつたら伝説になつてしまふ所だつたのでせう。事実といふことより伝説の方が何回でも繰返すのですから伝説の世界に這入つた方が広く長い命を持つて来るわけです。
真間・蘆屋の昔がたり
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「心配するな、俺はもう何と云はれたつて姦通者に相違ないのだ、皆が皆寄つて
群
(
たか
)
つて苛めるならもつと
苛
(
いぢ
)
めろ、もつと
苛
(
いぢ
)
めろ、
一層
(
いつそ
)
の事ぐいと銀の槍でも突き通せ。」
汝
(
おまへ
)
の心はもうその時犇と優しい Tinka John の身体を
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
噂
(
うはさ
)
も
知
(
し
)
らなかつた
隧道
(
トンネル
)
が
此
(
これ
)
だとすると、
音
(
おと
)
に
響
(
ひゞ
)
いた
笹子
(
さゝご
)
は
可恐
(
おそろ
)
しい。
一層
(
いつそ
)
中仙道
(
なかせんだう
)
を
中央線
(
ちうあうせん
)
で、
名古屋
(
なごや
)
へ
大𢌞
(
おほまは
)
りをしようかと
思
(
おも
)
つたくらゐ。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
自分が彼女を忘れるためには、彼女の存在を無くするか、自分の存在を無くするか二つに一つだと思ふ。……さうだ、
一層
(
いつそ
)
死んでやらうかしら。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
次
(
つぎ
)
に、
一層
(
いつそ
)
洋行する気はないかと云はれた。代助は
好
(
い
)
いでせうと云つて賛成した。けれども、これにも、矢っ張り結婚が先決問題として
出
(
で
)
て来た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
……
此處
(
こゝ
)
へ
來
(
き
)
ます
途中
(
とちう
)
でも、
出
(
だ
)
して
手
(
て
)
に
持
(
も
)
てば
人
(
ひと
)
が
見
(
み
)
る……
袂
(
たもと
)
の
中
(
なか
)
で
兩手
(
りやうて
)
で
裂
(
さ
)
けば、
裂
(
さ
)
けたのが
一層
(
いつそ
)
、
一片
(
ひとひら
)
でも
世間
(
せけん
)
へ
散
(
ち
)
つて
出
(
で
)
さうでせう。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
で、
昨夕
(
ゆうべ
)
の
樣
(
やう
)
に
當途
(
あてど
)
もない
考
(
かんがへ
)
に
耽
(
ふけ
)
つて、
腦
(
なう
)
を
疲
(
つか
)
らすより、
一層
(
いつそ
)
其
(
その
)
道
(
みち
)
の
書物
(
しよもつ
)
でも
借
(
か
)
りて
讀
(
よ
)
む
方
(
はう
)
が、
要領
(
えうりやう
)
を
得
(
え
)
る
捷徑
(
ちかみち
)
ではなからうかと
思
(
おも
)
ひ
付
(
つ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一層
(
いつそ
)
のこと、東京へお帰りになつたら何うでせう。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
私
(
わたし
)
は
一層
(
いつそ
)
、
藥研
(
やげん
)
で
生肝
(
いきぎも
)
をおろされようとも、お
醫師
(
いしや
)
の
居
(
ゐ
)
る
母屋
(
おもや
)
の
方
(
はう
)
に
逃
(
に
)
げ
込
(
こ
)
まうかと
思
(
おも
)
ひました。
其
(
そ
)
の
和尚
(
をしやう
)
の
可厭
(
いや
)
らしさに。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
妹の始末さへ付けば、当分下宿しても
可
(
い
)
いです。それでなければ、又
何所
(
どこ
)
かへ引越さなければならない。
一層
(
いつそ
)
学校の寄宿舎へでも入れ様かと思ふんですがね。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
前
(
まへ
)
さん、お
正月
(
しやうぐわつ
)
から
唄
(
うた
)
に
謠
(
うた
)
つて
居
(
ゐ
)
るんぢやありませんか。——
一層
(
いつそ
)
一思
(
ひとおも
)
ひに
大阪
(
おほさか
)
へ
行
(
い
)
つて、
矢太
(
やた
)
さんや、
源太
(
げんた
)
さんに
逢
(
あ
)
つて、
我儘
(
わがまゝ
)
を
言
(
い
)
つていらつしやいな。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
実
(
じつ
)
を云ふと、二百円は代助に取つて
中途半端
(
ちうとはんぱ
)
な
額
(
たか
)
であつた。
是丈
(
これだけ
)
呉れるなら、
一層
(
いつそ
)
思ひ切つて、
此方
(
こつち
)
の
強請
(
ねだ
)
つた通りにして、満足を買へばいゝにと云ふ気も
出
(
で
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
蟲
(
むし
)
のやうだと
言
(
い
)
つたが、あゝ、
一層
(
いつそ
)
、くづれた
壁
(
かべ
)
に
潛
(
ひそ
)
んだ、
波
(
なみ
)
の
巖間
(
いはま
)
の
貝
(
かひ
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
る。——
此
(
これ
)
を
思
(
おも
)
ふと、
大
(
おほい
)
なる
都
(
みやこ
)
の
上
(
うへ
)
を、
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
つて
立
(
た
)
つて
歩行
(
ある
)
いた
人間
(
にんげん
)
は
大膽
(
だいたん
)
だ。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「もし
駄目
(
だめ
)
なら、
僕
(
ぼく
)
は
學校
(
がくかう
)
を
已
(
や
)
めて、
一層
(
いつそ
)
今
(
いま
)
のうち、
滿洲
(
まんしう
)
か
朝鮮
(
てうせん
)
へでも
行
(
い
)
かうかと
思
(
おも
)
つてるんです」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
一層
(
いつそ
)
のこと、
萬事
(
ばんじ
)
を
御米
(
およね
)
に
打
(
う
)
ち
明
(
あ
)
けて、
共
(
とも
)
に
苦
(
くる
)
しみを
分
(
わか
)
つて
貰
(
もら
)
はうかと
思
(
おも
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“一層”の意味
《名詞》
一層(いっそう)
一つの層。
《形容動詞1》
一 層(いっそう)
ひときわ。さらに。ますます。
《形容動詞2》
一 層(いっそ、いっそう)
むしろ。思い切って。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
層
常用漢字
小6
部首:⼫
14画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥