黒頭巾くろずきん)” の例文
黒頭巾くろずきん黒装束くろしょうぞくに隠れて人形を使っているのが傀儡子、使われているのが傀儡だとのみ思っているのです。しかし昔の傀儡子は、そんな狭いものではありません。
怪しい客は、いらいらしてきたらしく、大きな黒頭巾くろずきんの奥で、しきりに小さな顔をふりたてている。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
貴族院議員、正四位、勲三等、子爵、赤沢事嗣あかざわことつぐ……これが金毛九尾の古狐で、今度の事件の一番奥から糸を操っている黒頭巾くろずきんだ。君等がよく取逃がす呑舟どんしゅううおという奴だ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その実験装置のそばに僧侶そうりょのような黒頭巾くろずきんをかぶったB教授が立って説明している。この放電のために特別に設計された高圧直流発電機の低いうなり声が隣室から聞こえて来る。
B教授の死 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
近づいて見ると、思いきって大きな看板に、黒頭巾くろずきんをかぶった黒いでたちの侍の絵姿。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
黒頭巾くろずきん黒羽織くろばおり、茶じまのはかま雪駄穿せったばきの、中年をすぎたようなからだつきの武家が一人、さっきから、足音をしのんで、ゆきつもどりつ、家内なかの容子を聴きすまそうとしていたのであった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
怪金属Qは、長い黒マントに黒頭巾くろずきんを着て人間の形をよそおい、日比谷公園ひびやこうえんの方へ逃げた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
黒頭巾くろずきんが、ひとりでこっくりこっくりとおじぎをしているが、これも風のいたずららしい。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)