麻幹おがら)” の例文
リュウリュウと麻幹おがらのごとく見事にしごいて、白髯たなびく古木の面に殺気を漂よわながら、エイッとばかり気合もろ共鳥刺しの面前にくり出すと
麻幹おがらを斬るという言葉はあながち誇張ではない。斬られるものが、狼狽のあまり半ば喪心そうしんしてしまい、斬る者は手に入って、斬るごとに無我心業の境になってゆくのである。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
盆が来て、みそはぎ酸漿ほおづき精霊棚しょうりょうだなを飾るころには、私は子供らの母親の位牌いはいを旅のかばんの中から取り出した。宿屋ずまいする私たちも門口かどぐちに出て、宿の人たちと一緒に麻幹おがらいた。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
薬湯を捧げている陶庵の躯が、麻幹おがらのようにふるえていた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と言って、二度も三度も焼け残った麻幹おがらの上を飛んだ。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)