麦酒びいる)” の例文
旧字:麥酒
二階で呼鈴が鳴ると、妻が白いエプロンをかけて、麦酒びいるを盆にのせて持て行くのです。私は階段下に居ます。妻が傍眼わきめに一寸私を見て、ずうと二階に上って行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
みんなが一つずつ手でつまんで麦酒びいるの中に入れる。酒を飲まぬ関さんも大きいのを一つ取って、口の中にほおばる。やがて校長の顔も大島さんの顔もみごとに赤くなる。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
気遣う様子更に無し、れど目科は落胆せず、倉子にしょくらせて前に立たせ余をうしろに従えて、穴倉の底まで下り行くに、底の片隅に麦酒びいるの瓶あり少し離れて是よりも上等と思わるゝ酒類の瓶を置き
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
氷も菓子も麦酒びいる饂飩うどんも売る。ちょっとした昼飯ぐらいは食わせる準備したくもできている。浪花節も昼一度夜一度あるという。この二三日梅雨つゆがあがって暑くなったので非常に客があると聞いた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
と、言って、大島さんはなみなみとついだ自分の麦酒びいるを一呼吸いきに飲む。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)