鶴氅かくしょう)” の例文
すがたは、坐していても、身長みのたけことにすぐれて見え、身には水色の鶴氅かくしょうを着、頭には綸巾りんきんをいただき、その面は玉瑛ぎょくえいのようだった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(それ、雪は鵝毛がもうに似て飛んで散乱し、人は鶴氅かくしょうを着て立って徘徊はいかいすと言えり……か。)
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見ればその上に、年まだ二十八、九としか思われぬ端麗な人物が、頭に綸巾りんきんをいただき、身には鶴氅かくしょうを着、手に白羽扇びゃくうせんを持って、悠然と乗っている。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四輪車の上の孔明は、綸巾りんきんをいただき鶴氅かくしょうを着て、服装も常と変らず、手に白羽扇びゃくうせんをうごかしていたが、孟獲が仰天して逃げかけるや、大いに笑って
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
命を終ると、彼は、日頃いただいている綸巾りんきん華陽巾かようきんにあらため、また衣も新しき鶴氅かくしょうに着かえて
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「三国志演義」のうちの本文にしばしば見るところの——身に鶴氅かくしょうを着、綸巾りんきんをいただき、手に白羽扇びゃくうせんを持つ——という彼の風采の描写は、いかにも神韻しんいんのある詩的文字だが、これを平易にいえば
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)