鴉片アヘン)” の例文
Ivresseイヴレス を含んでいる、鴉片アヘンHaschischアッシシュ のようなものだ。鴉片は支那までが表向禁じているが、人類が酒を飲まなくなるかは疑問だね。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「キツネ」艦の話は勿論もちろん、フアレエルの作品にみてゐるものは東洋の鴉片アヘンの煙である。
鴉片 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
前大戦アプレゲール派のコクトオ氏なども、前代的絶望感によって、鴉片アヘン窟へ通った。
深夜は睡るに限ること (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
久木の云うように火は足もとへ迫っているんだ、うっかりすると鴉片アヘン戦争の二の舞をくう、うっかりするとじゃない、それはすでに目前に迫っているんだ、われわれが夷狄撃攘を叫ぶのは
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
支那しなは、鴉片アヘンを売りつけられ、支那自身が、鴉片の害毒を知って、その洋商を排斥し、その物貨を焼いたのが原因で、侵略艦隊を降りた紅毛兵は、平和の仮面をかなぐりすてて、長江を溯江そこう
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鴉片アヘンも半ばは公然と、何処でも吸っているようです。私の見に行った鴉片窟なぞでは、かすかな豆ランプを中にしながら、売笑婦も一人、客と一しょに、柄の長い煙管きせるくわえていました。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さういふ時の林平は恰も鴉片アヘン喫煙者であるかのやうに混濁した想念に心のすべてを委ねてゐるに相違ない。涎が頬を流れてゐてもそれを忘れてゐるほどだつた。停学の期間中は殊にそれがひどかつた。