鬱憤うつぷん)” の例文
圓三郎の舌は次第に圓滑ゑんくわつに動きます。最初遠慮してゐたのが、平次の問ひにつれて、次第に日頃の鬱憤うつぷんが點火されて行くのでせう。
今度は、ヘレン・バーンズが私に説明を求めたので、私は私のやり方でもつて、自分の受難と鬱憤うつぷんの物語を早速はじめた。
よしんば、おツ放す内心で原稿を踏み倒されたにしても、義雄自身望んでゐた旅行が出來ると同時に、その旅行記に於いて滿身の鬱憤うつぷんを漏すことも出來る。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
話頭はなしかはりて爰に松田の若黨わかたう吾助は主人喜内を討果うちはたしてかねての鬱憤うつぷんを散じ衣類一包みと金子二百兩を盜み取やみに紛れて備前國岡山を立去しが豐前國ぶぜんのくに小倉こくらの城下に少しの知音ちいん有ければ此に便りて暫く身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
與茂吉の答へには、日頃の鬱憤うつぷんも交つてゐるのでせう、褒めるやうなくさしつけるやうな皮肉な調子です。