騒擾さわぎ)” の例文
旧字:騷擾
ところで去年の春の、あの「花あだ花」の騒擾さわぎ以来、私はしばらくあなたの消息に接することが出来ませんでした。
井上正夫におくる手紙 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
耳を聾する許りの騒擾さわぎが、夕立のれ上る様にサツと収つて、三百近い男女の瞳はその顔にあつまつた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それで那奴あいつ全然すつかりおこつて了つて、それからの騒擾さわぎでさ。無礼な奴だとか何とか言つて、私はえりを持つて引擦ひきずたふされた。随分飲んでゐたから、やつぱり酔つてゐたんでせう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
政務の不行き届きからこんな騒擾さわぎに及んだのは恐れ入り奉るぐらいのことは届け出るでしょう、届け出はするが、千百五十余人の百姓一揆はざっと四、五百人、実際はそれ以下の二
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そんな捫懌もんちやく最中に、狭山さんの方が騒擾さわぎに成りましたんで、私の事はまあどうでも、ここに三千円と云ふお金が無い日には、訴へられて懲役に遣られると云ふんですから、私は吃驚びつくらして了つて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)