馬蹄形ばていがた)” の例文
そこは馬蹄形ばていがたの急な階段式机が何重にも高くそびえている教室であった。中央の大きな黒板に向いあって、真白な解剖台がポツンと置かれてあった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
三人はそろって、どこか、そこが外国の町ででもあるような感じをいだきながら、馬蹄形ばていがたにその船へ向かった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
道端みちばたの事、とあえてこころにも留めない様子で、同じようにつまさきを刻んでいると、空の鵄が暗号あいずでもしたらしい、一枚びらき馬蹄形ばていがたの重いが、長閑のどかな小春に、ズンと響くと
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
桟橋にも、馬蹄形ばていがたまちにも、その後ろなる山も、高原も、みな、美しく、厚い、雪で念入りにおおわれ、雪面を吹きまくる北海道の風はしびれるように痛かった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
手前の方に、会員のすわるための椅子が二十脚ほど馬蹄形ばていがたにならべてあった。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
停車場は室蘭の町をズッと深く入り込んで、馬蹄形ばていがたの一端に寄った方にあった。さびしい、終点駅であった。停車場は海岸の低地にあって、その上の方には、遊郭の灯が特に明るく光っていた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)