餘韻よゐん)” の例文
新字:余韻
遠浪のやうに打寄せる江戸の街の騷音の上を渡つて、澄みきつた増上寺の鐘の音が、ボーンと靜かに寂しい餘韻よゐんを引いて唸るのでした。
耳につく角笛つのぶえ、なんとまあ餘韻よゐんの深いおとだらう……
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
丁度子刻こゝのつ(十二時)、上野の鐘がかすかに餘韻よゐんを引いて鳴り止むと、何處からともなく、ユラリと出て來た者があります。
上野の子刻こゝのつの鐘が、その最後の餘韻よゐんを闇の中に納めると、石田清左衞門は、豫て用意した席へピタリと坐りました。